コラム
田舎の土地をどうするの?④
こんにちは。弁護士の家護谷です。
今年の冬は去年と比べて寒いですねー。関東地方で今年みたいに雪が降るのはここ数年ではなかったような気がします(^^;
さて、今回は、所有者不明土地等対策に関するコラムの最後になります。
これまでのコラムで書いた、所有者不明土地の発生を抑制するための3つの施策(①不動産登記制度の見直し、②相続土地国庫帰属制度の創設、③土地利用に関連する民法の規律の見直し)のうち、③についてです。
これは、所有者不明土地の利用を円滑化する目的で、1 財産管理制度の見直し、2 共有制度の見直しを行うというものです。
1 財産管理制度の見直し(所有者不明土地・建物の管理制度の創設)
改正民法第264条の2第1項に「裁判所は、所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができない土地…について、必要があると認めるときは、利害関係人の請求により、…所有者不明土地管理人…による管理を命ずる処分…をすることができる。」と定められました。(建物については、同条の8以下に規定されています)
この規定に基づき、土地・建物の利害関係者が裁判所に申し立てることで、所有者不明土地・建物の管理人を選任できます。
所有者不明土地管理人は、裁判所の許可を得れば、売却も可能になります。これによって、所有者不明土地・建物の管理を効率化・合理化することができます。
2 共有制度の見直し(共有物の利用の円滑化を図る仕組みの整備)
(1)これまで、不明共有者がいる場合、共有者間の意思決定などが困難になるという状況がありました。そこで、改正民法では、①裁判所は、所在等不明共有者以外の共有者全員の同意を得て、共有物に変更を加えることができる旨の裁判をすることができる(251条2項)、②裁判所は、所在等不明共有者以外の共有者の持分の過半数で管理に関する事項を決定することができる旨の裁判をすることができる(252条2項)と定めました。
(2)さらに、他の共有者が裁判所の決定を得て、不明共有者の持分を取得することができる制度も創設されました(262条の2)。所在不明者は、他の共有者が供託したお金から持分の時価相当額を受け取ることができます。
(3)さらにさらに、他の共有者が不明共有者の持分を譲渡する権限を付与する制度も創設されました(262条の3)。ただし、これは共有者全員が不動産全体を特定の第三者に譲渡するケースでのみ行使可能です。
共有物についての改正は、まだまだありますが、詳細な解説は法務省のHPに載っておりますので、ご参照ください!
今まで、所在不明の共有者がいると共有物の変更や管理ができないという問題がありました。
今回の改正は、近年の社会情勢を踏まえて、所有者不明土地について他の共有者の管理・変更権を優先し、土地の円滑利用を促進する方向に舵を切った改正といえます。所在不明共有者はおそらくその不動産にほとんど関心がないため、変更や管理がなされても問題は生じにくいでしょうし、裁判所の判断や供託により、不利益もある程度カバーできていることから、今回の改正は円滑な土地利用という観点からいえば、社会にとって良い改正になったと思います。
少し難しい文章になりましたが、最後までお読みいただいてありがとうございました。次回からは全く別のテーマに触れていきます(^.^)!