コラム

田舎の土地をどうするの?①

コラム

こんにちは。弁護士の家護谷です。
今回から、コラムという形で様々な法律に関する話題を書いていきます。法律にそれほど詳しくない人を念頭において、なるべく簡単に、固くならないように書いていきたいと思います。
私はmixiやブログ等が流行していた時期にまさに青春を謳歌していましたが、ほとんどプレーヤーにならずに、いわゆる「見る専門」として友人が更新するものを見るだけの生活を送っていました。
そんな不慣れな私ですが、頑張って書いてみます。あまり長くなりすぎても退屈なので、そうならないように1000文字~1500文字くらい(A4で2枚程度です)を目安にして更新していきます。

さて、何をテーマに書こうかと考えていたところ、数カ月前に母親が、実家である大分の土地にもう誰も住んでいなくて、どうしようか困っていると言っていたのを思い出しました。そして、今年の4月28日に、「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律」(相続土地国庫帰属法)が公布されたので、これが関係するかもしれないなと思い立ちました。
それにしても、新しい法律は長い名称が多く、弁護士としてもなかなか正式名称が覚えられません。犯被保護法、プロバイダー責任法など正式名称を覚えようという気にもなりません。。。

ということで、相続土地国庫帰属法及びこれに関連する民法等一部改正法について、何回かに分けて書いてみます。
我々法曹は、新しい法律を見るときには、とにもかくにも第1条の目的規定を見る習性があるので、相続土地国庫帰属法第1条についても、例にならって見てみましょう。

(目的)
第一条 この法律は、社会経済情勢の変化に伴い所有者不明土地(相当な努力を払ってもなおその所有者の全部又は一部を確知することができない土地をいう。)が増加していることに鑑み、相続又は遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)(以下「相続等」という。)により土地の所有権又は共有持分を取得した者等がその土地の所有権を国庫に帰属させることができる制度を創設し、もって所有者不明土地の発生の抑制を図ることを目的とする。

うーん、もっと簡潔に書いてほしいですよね…(-“-)
簡潔に言うと、
土地を相続した人が、それを手放したいときは国庫に帰属させることができる制度を作り、所有者不明土地の発生を抑制する、という法律です。
「所有者不明土地」とは、①不動産登記簿により所有者が直ちに判明しない土地、②所有者が判明しても、その所在が不明で連絡が付かない土地を指します。国交省の調査によると、所有者不明土地の割合は平成29年で22%もあったそうです。

では、これが増えると社会にどのような問題が生じるのでしょうか。
所有者不明土地は管理されず放置されることが多い
→放置期間が長くなればなるほど、所有者の探索に多大な時間と費用が必要(戸籍・住民票の収集等)
→共有者が多数の場合や一部所在不明の場合、土地の管理・利用のために必要な合意形成が困難となる
→公共事業や復旧、復興事業が円滑に進まず、民間取引が阻害されるなど、土地の利活用を阻害し、土地の管理も不全化する

ざっくり言うとこのような問題があるようです。
大分の祖母の家は、半径500m以内に家が一つもないくらいの田舎ですが、隣が広いブドウ園になっています(「鶴瓶の家族に乾杯」にも登場しました)。母親が祖母の土地を相続したら所有者不明土地ではありませんが、長年放置され、登記も変更されなければ、いつしか所在不明土地になるかもしれません…(*_*;

以上のような社会的な問題に対応するために、政府は①不動産登記制度の見直し、②相続土地国庫帰属制度の創設、③土地利用に関連する民法の規律の見直しに踏み切りました。
次回のコラムでは、①不動産登記制度の見直しについて解説していきます。